かぜ(かぜ症候群、普通感冒)

2017年01月19日

風邪(普通感冒)
 
 
Q.かぜ症候群って何ですか?
 

 

風邪(普通感冒)
 
 
Q.かぜ症候群って何ですか?
A.
くしゃみ、鼻水、咳、のどの痛み、発熱、倦怠感などの症状がある場合すべてまとめて、”かぜ症候群”といっています。
急性の鼻炎、咽頭炎、気管・気管支炎の総称です。
 
かぜ症候群は、内科小児科の外来にいらっしゃる一番多い疾患です。
その多くはウィルス感染症です。
 
かぜの分類をもっと細かくお知りになりたい方は、このページの↓の方の最後の項目に詳細な分類を書きましたので、どうぞ。
 
Q.かぜの時は病院にいった方がいいですか?
A.
 いわゆるウィルス性のかぜは、3日程度で自然に治癒(self-limited)ですから、軽い風邪程度であればかならずしも病院を受診する必要はありません。
ただし、患者さんの状態によって違いますから医療機関を受診することがすすめられる症状もあります。
 
かぜだと思っていても思わぬ病気の前駆症状であることもあります。
「かぜは万病の元」と言われるひとつはこのためです。
(かぜから体調をくずし、他の病気が表にでてくる、というのもひとつですが。)
 
早く症状を取りたい場合、不安な場合、高齢の場合、他の病気をもっている場合には、医療機関を受信した方がいいでしょう。
 
因みに、アメリカ内科学会(ACP)が世界のエビデンスを集めてまとめた論文では次のように書かれています。
 
【自宅療養でいい症状】
38℃以下、鼻汁が透明感がある、咽頭痛が軽度、咳嗽が経度
 
【病院を受診した方がいい症状】
39℃以上、鼻汁が黄色か緑色、咽頭痛が激しい、咳嗽が激しい、38℃以上で他の症状も見られる時、65歳以上、糖尿病、慢性呼吸器疾患、心疾患、腎臓病などの基礎疾患がある場合
 
ただし、これはあくまでも参考ですから、不安な場合は受診をおすすめします。
 
 
Q.抗生物質を服用した方がいいですか?
A.
ほとんどの場合は不要です。逆に副作用の害の方が多いというエビデンスもあります。
 
ただし、高齢だったり、他の病気をもっていたり、ウィルス以外が原因の時は必要になることもありますから、医師から説明を受けてください。
 
Q.お風呂に入ってもいいですか?
A.
湯ざめしなければ、かまいません。欧米ではむしろ、風邪をひいたらあったかいシャワーをあびた方がいい、といわれます。
昔の日本の家屋のように隙間風があって、湯ざめしやすい家では、お風呂に入らないようした方がいいですが、最近のマンションのような密閉されていて、湯ざめしない環境であれば、お風呂にはいっても大丈夫です。
熱で汗をかいているでしょうから、お風呂にはいってさっぱりした方が気分もいいでしょう。
 
Q.風邪の予防方法は?
A.
「うがい」がよく言われていますが、実は科学的な研究では有効性はないとされています。よく使われるイソジンも普通の水と効果に差はなく、無効とされています。ただし、質の高い論文はあまりないと思います。
 
「手洗い」は、かぜに対する研究はありませんが、その他の感染症を含めると、予防効果はあると考えられます。
 
「マスク」は、ウィルスが入るのを予防する効果については、議論がありますが、効果はないとの意見が優勢です。ただし、Cochrane Reviewというエビデンスをまとめた意見によると「加湿による症状の緩和」するのには有効とされています。
また、感染者の唾液の飛散を防ぐ、という意味はあると考えられています。
 
 
 
Q.風邪に効く漢方薬はありますか?
A.
一般的によく使われる方法をあげます。
・感冒の初期で、悪寒・発熱がある場合:葛根湯
・発熱があり、筋肉痛・関節痛がある場合:麻黄湯
・鼻水、咳、痰が多い場合:小青竜湯
・体力がなく、微熱で気分がすぐれない場合:麻黄附子細辛湯
・数日経過して、熱が持続している場合、(西洋薬と併用する):柴胡桂枝湯
・咳が長引く場合:麦門冬湯
 
 
 
Q.かぜ症候群の細かい分類はありますか?
A.
発熱、鼻汁、咽頭痛、咳嗽、倦怠感などの症状がある場合すべてまとめて、”かぜ症候群”といっています。
 
ウィルス性が80%で、多くはライノウィルス、コロナウィルス、アデノウィルス、エコーウィルス、ロタウィルスなどが原因です。
 
そのほとんどはウィルス感染症(いわゆるかぜ、普通感冒)ですが、溶連菌性咽頭炎、インフルエンザ、マイコプラズマ、肝炎などの場合もあります。
 
病型により以下のように分類されます。
1.非特異性上記道炎型
 急性の鼻炎症状(くしゃみ、鼻汁、鼻閉)、咽頭炎症状(咽頭痛、のどの違和感)、下気道炎(咳、喀痰)の3症状が同定度に存在する。この場合はウィルス性の普通感冒ですから抗生物質は不要です。
2.鼻炎型(急性鼻・副鼻腔炎型)
 急性の鼻炎症状(くしゃみ、鼻汁、鼻閉)のみの場合です。約99%がウィルス性ですから抗生物質は不要です。ただし、1週間以上持続し、膿のようなにおいのある鼻汁があり、頬に違和感・はれ・発熱がある場合は、細菌性で抗生物質が必要になります。
3.咽頭炎型(急性咽頭・扁桃炎型)⇒溶連菌の項目を参照
咽頭炎症状(咽頭痛、のどの違和感)が主症状の場合です。のどの奥(咽頭)が赤くなり、首のリンパ節が腫れることがあります。多くはウィルス性で自然になおります。この中の10%は溶連菌(A群β溶血性連鎖球菌)の感染で、抗生物質が必要になります。
 
溶連菌の症状・診断:発熱、白苔を伴う発赤、咳がない、首に痛みを伴うリンパ節のはれ、(小児の場合は舌にぶつぶついわゆるイチゴ舌を伴うこともある)が3つ以上あれば溶連菌の可能性が高いされています。
溶連菌の疑いがあれば、簡単なのどの検査で10分程度で診断できます。
 
治療はペニシリン系の抗生物質を10日間内服します。治療後24時間後には改善し、感染性はなくなるとされています。
 
この治療によりリウマチ熱は予防するとされていますが、腎炎を予防するというエビデンスは今のところないようです。
 
激しいのどの痛み、飲み込む時に激しく痛い時は「扁桃周囲膿瘍」で抗生物質での治療が必要です。
 
声かすれ・ぜえぜえする・呼吸が苦しいという症状を伴う場合は、「急性喉頭蓋炎」といって、重篤な場合は命にかかわるため緊急な処置が必要になることもあります。
4.気管支炎型
咳が主症状の場合です。90%以上がウィルス性です。呼吸が苦しい・高熱・脈が早い(100/分以上)などの場合はマイコプラズマ、クラミジア、百日咳などの感染による可能性があり、抗生物質の治療が必要です。
 
5.高熱のみ型(インフルエンザ型)⇒インフルエンザの項目を参照
6.微熱・倦怠感型(急性、慢性)
 
7.その他:発疹型、急性胃腸炎型、髄膜炎型、そのほか
 
 
*この項目は治療2003年12月号田坂佳千先生の「日常診療でのかぜ症候群に対するアプローチ」を参考にしています。